第312章 彼女に誤解されたくない

檸檬のこの一言は、詩織の顔を全く立てないものだった。

隣にいたお坊っちゃまがすぐさま口を開く。「おい、お前、なんて空気の読めないやつなんだ。望月のお嬢様が直々に顔を立てろと言ってくださってるのに、よくも断れるな?」

「あなたはミツグ君になりたいようだけど、他の人もみんな同じだと思ってるの?」

そのお坊っちゃまは瞬時に逆上した。「てめえ、何様のつもりだ。篠崎の若様と数回寝たくらいで玉の輿に乗って鳳凰にでもなった気でいやがるのか。望月のお嬢様こそが、篠崎の若様と婚約しているお方なんだぞ。お前なんて、たかが浮気相手にすぎない!」

「黙れ!」

千謙が拳を叩きつけた。その動きは荒々しく、重い。...

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