第79章 琉生兄さんが淘汰されるのを目撃して防御が崩れる

篠崎千謙は薄暗い書斎に立ち、その背中は闇に溶け込んでいた。

彼は高坂檸檬が何を経験したかを知り、心の底で燻っていた怒りの火種が瞬く間に燃え上がった。

自分が大切に守ってきた人間に、まさかこれほど汚らわしい考えを抱く者がいるとは。

中年男はようやく思い出し、慌てて許しを乞うた。「俺が悪かった、口が滑っただけなんだ、謝るよ。わざとじゃないんだ」

まさか若い男二人が、これほどの大物だったとは誰が想像できただろうか!

彼らの手際の良さからして、絶対にただ者ではない。

あの若い男がつけている腕時計は、とっくに絶版になったもので、金を出しても手に入らない代物だ。

中年男は心底後悔した。今夜は...

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