第108章 当然、彼を信頼しているから

着信画面に名前は表示されていないが、発信元は表示されていた。K市。ローカルナンバーであり、迷惑電話のタグ付けもされていない。単なるセールスやいたずら電話ではないことは確かだった。

氷川昴はスマホの画面をスワイプしてロックを解除し、ディスプレイを一瞥した。これほど執拗に、何が何でも橘芹奈に電話を取らせようとするその執念。よほど重要な用件なのだろうか。

指先を迷わせ、かけ直すべきか一瞬思案する。

だが結局、彼は手を引いた。スマホを上着のポケットに押し込む。

橘芹奈からは保管を頼まれただけで、着信の対応まで任された覚えはない。「触らぬ神に祟りなし」だ。余計なトラブルは御免だった。

しかし...

ログインして続きを読む