第144章 ただのファン

横で聞いていた橘芹奈は、あまりの滑稽さに呆れ返っていた。

これがファンミーティング? ただの「ロマンチック」への公開処刑ではないか。

業界の期待値が高いからといって、それが全てではない。往年、ダークホースが途中から猛追し、番狂わせを起こした例などいくらでもある。

橘芹奈は観客席のパイプ椅子を乱暴に押しやり、ガタッと音を立てて立ち上がった。

「スネークが優勝候補筆頭だからって、下位のチームにレースへ参加する資格がないとでも? そんなに言うなら、試合なんてやめてトロフィーを直接スネークに進呈すればいいじゃない」

彼女は声を潜めることなどせず、その記者の耳に確実に届くよう、意図的に声を張...

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