第166章 私はただのアシスタント

翌日、橘芹奈はあらかじめ連絡を入れておいた近所のディーラーへ向かった。

最高級のレーシングカーを、これ以上道端に放置しておくわけにはいかない。普段乗る機会がない以上、一度メンテナンスに出してから、ガレージに収めようと考えたのだ。

この車は橘芹奈にとって、単なる資産価値を遥かに超えた記念碑のような存在だった。

運転席に滑り込むと、懐かしい感覚が一気に蘇る。まるで現役のプロレーサーだった数年前に引き戻されたかのようだ。

彼女は「相棒」のハンドルをポンポンと軽く叩き、口元に微かな笑みを浮かべた。

過ぎ去った日々には戻れない。だが少なくとも、大切に珍蔵することはできる。

マシンを走らせる...

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