第173章 喜ぶべきこと

纱奈はわざとやったんだ。

橘芹奈は瞬時にそう確信した。

立木武は頻繁に纱奈と連絡を取り合っているから、こちらの近況は筒抜けだったはずだ。

橘芹奈が双子を産んだことも、立木武が纱奈に隠しているわけがない。

海人と陽菜が並んで立っていれば、その顔立ちに橘芹奈の面影があることなど、纱奈が見抜けないはずもなかった。

それなのに、八年ぶりの再会で、彼女は迷うことなく橘芹奈を庇うことを選んだのだ。

海人は瞬時に激昂し、纱奈を睨みつけて口を開こうとした。

その時、横から伸びてきた手が海人を乱暴に引き留めた。

「他人の家の子供を勝手に品定めするなんて、育ちが知れるわね」

白川雪が声を張り上...

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