第197章 橘芹奈は死んでいない

「今度海人が会いに来たら、こう言いなさい。もしまたユキお姉ちゃんの悪事に加担するなら、ママを恨まないでね。死んでお化けになっても絶対に許さないからって」

 橘芹奈は陽菜の小さな頬を揉みながら、冷ややかに笑って言った。

 陽菜は慌てて両手で橘芹奈の口を塞ぎ、彼女の手を引いて木製のソファの肘掛けに二、三度こすりつけた。

「久保おばちゃんが言ってたよ。縁起の悪いことを言っちゃダメだって。もし言っちゃったら、木を触らないと不幸が取り憑くんだって!」

 その言い伝えに橘芹奈は思わず吹き出したが、それでも言われた通りに肘掛けをしっかりと撫でた。

 科学的根拠などないが、少なくとも陽菜の気休めに...

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