第272章 別の値段

念のため徹底的に洗い出すため、氷川昴と黒田奏多は例の路地に自ら足を踏み入れた。

路地はひどく狭い。せいぜい大人二人が肩を並べて通れる程度で、向こうから人が来れば、どちらかが身をよじって道を譲らなければならない。

ましてや氷川昴も黒田奏多も背が高い。二人が並んだだけで肩がぶつかり、まともに前へ進めないほどだ。

その点、体の小さい陽菜が立つと、まるでここは彼女のために作られたみたいに、ぴたりと収まった。

「ママは、無理やり引きずり出されたんじゃないよ!」

路地の入口に立った途端、陽菜は断言するように二人へ言った。

黒田奏多と氷川昴は半歩ずつ位置をずらし、しゃがみ込んで陽菜の言葉に耳を...

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