第4章

夕暮れの高級料亭は、金色の光に包まれていた。車を降りた私は、和服の高い襟を少し整え、首筋に刻まれたいくつかの艶めかしい痕が完全に隠れていることを確かめる。

三日間にわたる海外での盟約の旅は、たった今終わったばかりだ。手首に残る血の契りの印には、まだ微かな疼きさえ感じられる。

松本絵里は、すでに最も奥まった個室で私を待っていた。

「若菜姉!」

松本絵里は立ち上がったが、すぐに目を細めた。

「その首筋の、何?」

私は微かに笑みを浮かべ、彼女の問いには答えなかった。

「知ってる?」

松本絵里は怒りを込めて冷酒を注ぎ、一気に呷る。

「あのクソ野郎、藤原成俊が、昨日、小林...

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