第5章

婚約パーティーの朝、私が階下に下りると、その場で凍り付いた。

リビングは人でごった返していた。

「お母さん?」混乱して声をかける。

「あら、紅葉!」お母さんがキッチンからコーヒーのトレーを手に現れた。「みんな、鳳城と美玲のお祝いにって、早くから来てくれたのよ。素敵でしょう?」

部屋を見渡す。由美おばさんが旦那さんと一緒に来ている。直樹おじさんは桜浜から車で駆けつけてくれたようだ。お母さんの妹の里奈さんは、見知らぬ誰かと談笑している。

でも、身内だけじゃなかった。お父さんが三本の映画で一緒に仕事をした早乙女亮介監督の姿も見える。紗奈さんもいて、お母さんのイベントで会ったことの...

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