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【デナリ視点】

全身を撃ち抜く痛みに、崩れ落ちそうになる。口内には血の鉄錆びた味が広がり、耳の奥では激しい耳鳴りが響いている。それでも、私は持ちこたえた。

まだ倒れるわけにはいかない。セレニティを抱える少年に視線を固定したまま、私は心の中で思う。まだ屈するわけにはいかない、まだ。

「彼女を放しなさい」私は再び命じ、さらに強大な力を己から迸らせる。「今すぐ!」

一瞬、少年はためらった。彼が持てる力のすべてで私の命令に抗っているのがわかる。だが、彼がとうとうセレニティを放し、エリーの方を向いたとき、彼に抗う力など残されていないのだと確信した。

「ママ!」セレニティが息を呑み、よろよろと立ち上がる...

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