第2章
仕事の時間だ。ステップ1:写真撮影――あらゆる角度から現場を記録する。これらの写真は暗号化された私のハードドライブに保管される。私の保険だ。
次に業務用のポンプを起動する。血の混じった水が渦を巻き始め、沈み、浄化槽システムへと排水されていく。
プールが空になると、発光試薬を取り出す。
すべての照明を消す。
暗闇の中、スプレーのノズルを押すと――
青い化学発光が爆ぜる。
プールのタイル、デッキ、ソファの肘掛け、果ては天井まで――至る所に血痕が青白く浮かび上がっている。
「なんてこった」私は鋭く息を吸い込む。
血痕パターンが真相を物語っていた。加奈はまずリビングで殴られ、ソファに引きずられて暴行を受け、その後プールに向かってもがき、最終的に溺死させられた。天井の血しぶきは、誰かが重い物体を力任せに振り回したことを意味する。
「これは殺人だ」私は歯を食いしばる。「計画的な暴行と殺害だ」
死体へと歩み寄り、しゃがみ込む。防水グローブが加奈の氷のように冷たい肌に触れる。
だが、彼女の腕を裏返した時――私は凍りついた。
腕の内側に、整然と並んだ穿刺痕。しかし、場所がおかしい。角度も違う。
「これは薬物の注射痕じゃない」私はさらに顔を近づける。「採血の跡だ。繰り返された、系統的な採血の……」
誰が夜の仕事をしていた女から定期的に血を抜く?
彼女の右手の親指の付け根には、はっきりとしたタコがある――長時間のキーボード使用の痕だ。
「プログラマーだったのか?」
彼女の爪を見る――紫外線ライトの下で、微小な金属片がキラキラと光っている。電子部品だ。
「一体、あなたは何者なんだ?」
もう一つ。加奈の右手は何かを固く握りしめている。グローブをはめた手で硬直した指をこじ開けると――マイクロSDカードが出てきた。
私はそれをすぐにギアバッグの隠しポケットに滑り込ませる。それから彼女のハンドバッグの中を探った。
見つかった――壊れた小型カメラだ。レンズは乱暴に引きちぎられているが、メモリーカードはまだ残っている。
バスルームの生理用品の箱の裏には、二台目の使い捨て携帯。
仕事はまだ終わらない。
私は蓮司のノートパソコンにログインする――この馬鹿はパスワードすら設定していない。
スマートホームシステムを開く。防犯カメラのインターフェース。カメラは八台、全域をカバーしている。
「今夜午後八時から午前四時までの全映像を削除」私はコマンドを打ち込む。
だが確定を押す前に、暗号化したUSBドライブを挿入し、すべてのオリジナルファイルをコピーした。
犯罪現場の清掃とは、犯人の証拠隠滅を手伝うことではない。
システムを終了しようとしたまさにその時、履歴に気づいた。スクロールして戻す――
加奈の顔が映像に繰り返し現れる。
一度や二度ではない――少なくとも十五回。過去三ヶ月間、毎回蓮司と二人きりの時に。
だが加奈の表情は喜びでも、媚びでもない――観察、記録、収集。
「やはり」私はこの証拠を睨みつける。「奴らを調査していたんだ」
しかし、なぜ?
清掃は重要な局面に入る。
過酸化水素をプールのタイルに注ぐと、ジュウジュウと音を立て、白い泡が激しく噴き出す。血液分子が分解されていく。
酵素クリーナーをソファ、デッキ、壁に噴霧する――残留したタンパク質とDNAを分解するためだ。
オゾン発生器を起動すると、血の悪臭が新鮮なイオン化された空気に取って代わられた。
最後に、紫外線による検証。UVライトが隅々までを照らし出す。
クリーン。一点の曇りもない。まるで何も起こらなかったかのように。
「だから影桜社は私を最高だと言うんだ」私はUVライトを消す。「私は悪を跡形もなく消し去るからだ」
しかし、死体は残っている。
死体袋のジッパーを開け、深呼吸する。
彼女を持ち上げる――驚くほど軽い。せいぜい45キロか。氷のように冷たい肌、硬直した手足。
彼女を袋に収めた後、証拠品を確保し、バンの後部にある保冷庫に運び込む。
最後に蓮司にテキストを送る。「完了。確認しろ」
返信はほぼ即時だった。「よくやった。しくじるなよ」
三秒後、暗号通貨の支払い通知が届く。2000万円。匿名化経由、三重に暗号化され、追跡不可能。
私はその数字を睨みつける。コインランドリーでの一年分の給料だ。血塗られた金。
影桜社に500万円を送金する。「手数料だ」
午前六時、地平線が白み始めている。
私は後部座席に加奈の死体を乗せ、青峰を後にする。バックミラーに映る、あの8億円の罪の要塞が遠ざかっていくのを見つめた。
「何を探していたんだ、加奈?」私は死体に呟く。「なぜあなたが?」
使い捨て携帯が再び震えた。
影桜社からの確認メッセージだ。「入金確認。2000万円送金済み。クライアントは満足している。見事な仕事だ、ファントム7」
私は画面を見つめ、ふと寒気を感じた。
蓮司は眉一つ動かさずに金を送ってきた。あまりに性急で、加奈を消すことに必死すぎる。
私はギアバッグの中のSDカードに触れる。
「あなたは何を発見した?」
家に帰る必要がある。あのカードの中身を見なければ。だが今は別の問題がある――加奈の死体だ。
川に捨てるわけにはいかない――死体は浮く。工業地帯に埋めることもできない――あそこは森田家の縄張りだ。
私は新倉を走り抜け、新倉港の廃倉庫街に到着する。ここで私は、錆びついた輸送コンテナの列の裏に隠された業務用冷凍庫を借りている。
加奈の死体袋を冷凍庫に押し込み、温度を設定する。マイナス二十度。長期間保存できる。
「すまない」私は袋を見つめる。「あなたが何者だったにせよ、こんな死に方をするべきじゃなかった」
携帯のアラームが鳴る。午前八時。コインランドリーの開店時間だ。
一時間でシャワーを浴び、着替え、掃除屋からいつものしがない自分へと変身しなければならない。
だが今回は、私の車には余計なものが乗っている――真実の断片が。
「答えは見つけてやる」私はハンドルを握りしめる。「あなたのためじゃない。私自身のためにだ」
バックミラーに映る自分の顔を見て、私はゆっくりと笑みを浮かべた。
「八時間後だ、森田蓮司」私は呟く。「あんたはコインランドリーで私に怒鳴り散らしているだろう。私にトイレ掃除をさせるだろうな」
「あんたには決して分かるまい」
「今夜、あんたの殺人現場を掃除した人間が」
「この私だったとはな」
