第6章

 翌朝、バンという音と共に、小屋の扉が乱暴に蹴破られた。

 入り口に立っていたのは、晴貴だった。全身ずぶ濡れで、両目は血走っている。

 指先から力が抜け、コーヒーカップが滑り落ちる。床に叩きつけられ、粉々に砕け散った。

 彼はただそこに立ち尽くし、胸を激しく上下させている。濡れた髪が額に張り付き、シャツは皺だらけ。見る影もないほどやつれ、あごには無精髭が数日分も伸びていた。

「千佐」

 彼のかすれた声は、誰のものか判別できないほどだった。

「生きて、いたんだな」

 後ずさった背中がテーブルの角にぶつかる。鋭い痛みに、私は息を呑んだ。

 心臓が早鐘を打ち、今にも肋骨を突き破りそ...

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