第7章
その日の朝、ドアを開けた途端、行く手を阻む影があった。
姫子だ。
衣服は乱れ、化粧は無惨に崩れ落ち、両目はまるで誰かに殴られたかのように赤く腫れ上がっている。髪は鳥の巣のように絡まり、全身から狂気じみた気配が立ち上っていた。
私は本能的に一歩後ずさる。
彼女の声は、耳障りなほどにかすれていた。
「偽装死? そんな手を使って晴貴を連れ戻そうってわけ?」
私は彼女を凝視したまま、何も言わない。
「何とか言いなさいよ!」
姫子が詰め寄ってくる。その声はほとんど悲鳴に近かった。彼女の指先が私の肩を突き、爪が皮膚に食い込む。
突然、彼女は笑い出したかと思うと、さらに激...
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