第5章

 被害者ぶって憤慨する涼の吐き気を催すような姿を前に、私は冷たく問い詰めた。

「それがあなたの言い訳? 私がトイレ掃除をして必死に稼いだお金を、何も知らないふりをして湯水のように使い込み、元カノと寝るための資金にしていたというわけ?」

「あなたが病人のようにアパートに引きこもって、私に食事の世話をさせていた間、私は氷点下の路地裏でゴミを漁っていたのよ。ピアノの鍵盤が見えなくて死にたいって泣き言を言っていたわよね。でもあの時、あなたの言う『生きる苦悩』とやらは、琴音のベッドでどう抱き合うかを考えながら、皆にいいように使われている犬のような私を笑いものにすることだったのね」

 ホールにざわ...

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