第6章

「いやっ! そんなのありえない!」

 琴音は床から這い上がり、必死に父親のズボンの裾にすがりついた。

「お父様! 何をなさっているの? 私は綾小路家の人間よ! 跡取りなのよ! ボディガードの股をくぐれだなんて、どうかしてるわ! そんなこと、恵理奈みたいな底辺の人間がやることじゃない! 私は高貴な血筋の令嬢なのよ!」

「あいつを殺して! 警察を呼んで! うちにはお金があるじゃない! こんな……こんな偽物の冴島なんて恐れる必要ないわ!」

 その場にいる全員の視線が、綾小路社長へと注がれた。

 彼は猛然と飛びかかり、琴音の髪をわしづかみにすると、まるで死んだ犬でも捨てるかのように彼女を床...

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