第19章

浅木辰也は言った。

「お前に相談してるんじゃない。今日は、帰る気がなくても連れて帰る」

そう言うなり、桑野夜子の手首を掴む。

夜子は振りほどけず、腹立たしさを隠そうともせずに睨みつけた。

「私を戻らせたいなら、鈴木真代はどうするの?」

浅木辰也は一瞬、言葉に詰まった。彼女が気にしているのがそこだとは思っていなかったのだろう。

少し間を置き、低い声で問う。

「真代を追い出せって言いたいのか」

夜子は首を横に振った。

「そんなこと一度も言ってない。家はあなたのものだし、誰を住まわせるかを私が決める資格もない。でも……あんな気まずい状態で戻るのは嫌」

きっと、向こうだって望まな...

ログインして続きを読む