第20章

「江原越也、おまえさ。最近なんか新しい獲物でもできたんじゃねぇの? 何回誘っても出てこなかったくせに、今日はやっと顔出したな」

バーの廊下。赤髪の男が江原越也の肩を組み、笑いながら毒づく。

江原越也は涼しい顔で言った。

「新しい獲物なんていない」

赤髪の男は悪そうに整った眉目を歪め、鼻で笑う。

「とぼけんなって。最近、大学生追ってるって聞いたぞ? その腹黒そうなツラ……もう落としたんだろ」

江原越也が眉を上げ、言い返そうとした――その瞬間。

視界の端、曲がり角の個室から出てきた男女に目が止まる。見覚えのある顔だ。彼の動きが、ぴたりと止まった。

赤髪の男は江原の視線を追い、ぱっ...

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