第22章

琴の旋律が静かに漂うカフェで、スマホ画面の光が桑野夜子の頬を白く照らし、その瞳に浮かんだ驚愕までくっきり映し出した。

画面には、真っ赤な太字のニュース。

【浅木グループの社長、婚姻危機か。株価が動揺……】

夜子は眉を寄せ、向かいの浅木辰也を見た。声は低く、硬い。

「離婚のこと、私は誰にも言ってない」

辰也だって、それが彼女のせいじゃないと分かっている。社内で彼女が「浅木奥様」だと知っている人間など、片手で数えるほどだ。

彼は一度、息を整えるように視線を落とした。

「分かってる」

夜子は腑に落ちないまま言う。

「じゃあ、どうして離婚しないの」

自分が情報を漏らしたと誤解して...

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