第23章

二人は、ほとんど折り合いがつかなかった。

鈴木真代は目を伏せるようにして桑野夜子を見つめる。その瞳の奥に、濃い不機嫌さが沈んでいた。

「あなたがサインしないなら、途中で気が変わらないって、どう信じればいいの?」

夜子は立ち上がり、淡々と言い放つ。

「言ったことは守る。信じるかどうかはあなたの勝手。私には関係ないわ」

バッグを手に取り、もう一度だけ真代を見た。

「好きでもない男に、みっともなく縋りつくほど落ちぶれてない。……まして、愛されてもいないのに」

浅木辰也が愛しているのは鈴木真代だ。夜子は、最初から分かっていた。

この結婚は自業自得。

けれど――もう、これ以上は。

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