第24章

浅木辰也は桑野夜子の傍へ歩み寄ると、彼女の手から保温容器を取り上げ、淡々と言った。

「俺と入れ」

「浅木様……」

秘書は「鈴木さんが応接室に……」と言いかけたが、返ってきたのは氷のような一瞥だけだった。

勝手に奥様へ余計なことを吹き込んだ——その咎めだと悟り、秘書は口をつぐむ。

鈴木さんの対応は、自分で何とかするしかない。

桑野夜子は、本当は弁当を届けたらすぐ帰るつもりだった。

けれど浅木辰也に遮られたせいで、そのまま流れに乗って、総裁室へついていってしまう。

浅木辰也は、夜子がようやく「分かった」のだと思ったらしい。

だが客間へ移った件はまだ腹に据えかねていて、口を開けば...

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