第45章

浅木辰也は、淡い視線をすぐ隣の浦原淳宏へ流すと、ゆったりと身を起こした。薄い唇の端が、かすかに持ち上がる。

「迎えに来た」

そう言って車のドアを開ける。

「もう遅いだろ。お婆さん、ケーキ待ってるんじゃないのか?」

桑野夜子は、わずかに眉をひそめた。

お婆さん、そのことまで浅木辰也に話したの? だったら、どうしてわざわざ自分にも電話を――。

けれど、これ以上お婆さんを待たせるのも気が引ける。桑野夜子は振り返り、浦原淳宏に申し訳なさそうに微笑んだ。

「先輩、すみません。やっぱり、お言葉に甘えるのはやめておきます」

浦原淳宏は穏やかに笑って、ひとつうなずく。

「気にしなくていいよ...

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