第46章

桑野夜子はずっと、浅木辰也は自分にそれほど関心がないのだと思っていた。

確かに二人のあいだには親しさがある。けれど、その親しさの向こう側には、薄い膜のようなものが一枚、ずっと横たわっていた。

昔は、それが何なのか分からなかった。

けれど今なら分かる。

彼がずっと心に置いていたのは、鈴木真代だ。

だから自分に向き合う時の浅木辰也は、どこか一線を引いたまま、理性と冷たさを手放さなかったのだ。

彼は自分に優しい。

でもそれは、金銭面を除けば、どこに温もりがあったのか分からなくなるような優しさだった。

ずっと、彼は自分のことなんて何も分かっていないのだと思っていた。

けれど初めて、...

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