第49章

朝いちで桑野夜子がオフィスに着くと、手にはケーキの箱を提げていた。

彼女がやけに機嫌良さそうなのを見て、同僚がにやにやしながら近寄ってくる。

「なにそれ、嬉しそうじゃん。今日も旦那さんが送ってくれたの? しかもケーキまで用意してくれるとか、粋だねえ」

からかわれて、夜子は少し頬を熱くし、咳払いをひとつ。箱を差し出した。

「……ついでに買っただけ。食べる?」

同僚は口元を手で隠して、くすくす笑う。

「えー、人がわざわざ夜子のために買ったやつでしょ? さすがに食べられないって。ていうか最近、ふたりベタベタしすぎじゃない? 毎日送り迎えって、グループでも噂になってるよ」

夜子は、最近...

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