第53章

桑野夜子の部屋を出たばかりのところで、家政婦が小走りにやって来て告げた。

「浦原さん、お客様です。桑野さんにお会いしたい男性の方がいらしてます」

浦原淳宏はハンカチで手のひらを拭い、端正な顔に淡い表情を浮かべたまま答えた。

「分かりました」

浦原淳宏が階下へ下りると、門の外で二人のボディーガードに止められている男が目に入った。

浅木辰也だ。

浦原淳宏の姿を認めた瞬間、浅木辰也の目の奥にある冷えた色は、もはや隠しきれていなかった。鋭い視線がまっすぐ突き刺さってくる。

だが浦原淳宏は少しも怯まず、その視線を受け止めて、かすかに笑った。

「浅木様、これはどういうおつもりで?」

「...

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