第7章

 電話口は長い一瞬、静まり返った。それから圭太が、早口でまくしたててきた。

「わかった。ああ、君が怒るのも当然だ。わかるよ。でも、理奈が君にこんなことをしたわけじゃない。俺だ。君の両親がやったんだ。彼女じゃない。今夜、彼女を見殺しにしたら、君は一生その重荷を背負って生きていくことになる。君はそんな人間じゃないだろう、琴音」

「私は平気よ、圭太。むしろ、ここ数年で一番気分がいいくらい」

「琴音――」

「鉛筆を握ると、まだ右手が震えるの。専門医も、これが治るかどうかはわからないって」

 彼は何も言わなかった。

「私の赤ちゃんが死んで四ヶ月経つのに、まだ悲しむ時間すらなかった。なぜだか...

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