第13章 暴走した口づけ

有川紘樹は、佑奈の清やかで艶やかな顔をじっと見つめていた。

この顔と六年、毎日向き合ってきたはずなのに――彼は一度だって、まともに見ようとしなかった。

こうして近くで見ると、佑奈は驚くほど綺麗だった。

笑わない。優しい目で自分を見ない。

その瞬間の佑奈は、氷みたいに冷たい。

記憶に残っているのは、子どもの世話に追われて忙しなく動く背中ばかり。六年のあいだ、彼は彼女を「見て」いなかったのだ。

それが、たった数日のうちに――。

佑奈がいつ川西拓海と知り合い、あそこまで親しげになったのか。有川紘樹にはわからない。

しかも相手は、ランティン本部の社長。

佑奈は、どんどん「読めない女...

ログインして続きを読む