第39章 彼女が黙って尽くすこと

有川紘樹は胸の奥がひやりと締めつけられ、すぐさまハンドルを切り返した。振り返りもせず、そのまま走り去る。

最近は立て込んでいて仕事も忙しく、もう一か月以上、祖父の顔を見に実家へ帰れていなかった。

祖父はもともと頑丈な人だ。ただ心臓だけが少し弱く、ここ二年あまりは、そのことで周りを騒がせることもなかった。

医師の治療と管理で落ち着いてきて、発作も滅多に起きなくなった――そう思い込んでいたのに、まさかまたこんなことになるとは。

心臓発作は一度でも命取りになり得る。医師にそう告げられた記憶が脳裏をよぎり、紘樹は迷わずアクセルを踏み込んだ。制限なんて知ったことか。最速で実家へ駆けつける。

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