第102章

「有紀」

ふいに、藤原行船の声が菅田有紀の耳もとでくっきりと響いた。

「勝負は勝負だ。負けは認めろ」

藤原行船は、菅田友香が勝つなど思ってもみなかった。

自分はデザイン畑の人間ではない。だが藤原家の嫡孫として、そして藤原グループを七年にわたって率いてきた人間として、どちらが上かくらい一目で分かる。

だから、どれほど菅田有紀に肩入れしていようと、この場で良心に背いて「有紀のほうが上だ」などとは言えなかった。

少しでも目の肥えた人間なら、ひと目で分かる。

菅田友香は演出面で菅田有紀を圧倒していただけではない。デザインそのものも、一枚上手だった。

「負けは認めろ」

その言葉を聞い...

ログインして続きを読む