第126章

永橋英明は反射的に眉をひそめた。何か言いかけた、そのとき――耳元で、菅田有紀のか細い声がした。

「永橋先輩……ほんとに、私のこと覚えてないの?」

永橋英明はわずかに目を見開く。

「『永橋先輩』? ……君は?」

菅田有紀は内心でくすりと笑った。やっぱり、風情のないガリ勉。せめて覚えてるふりくらいすればいいのに。

高校時代の自分は、学校一の美人とまで呼ばれた存在だ。

菅田友香のほうが顔立ちだけなら上だったかもしれない。けれど、才芸も美貌も兼ね備え、人望もあったのは自分。自然と友香を押しのけ、皆に「学校一」の座へ担ぎ上げられた。

そんな自分を、永橋英明が忘れる?

ありえない。

菅...

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