第067章

向かいで、藤原雅彦は黙って腹の中で毒づく。

いるって言ったところで、もう相手はおまえに腹を立てすぎて半分死にかけだろ。

腹が立って仕方ないのに、藤原雅彦は結局ひと言だけ返した。

「いる」

数分後、通話を切ると、藤原雅彦は資料をまとめて菅田友香に送信した。

そのとき、藤原陽向がとことこと近寄ってきて、いかにも悔しそうに見上げる。

「パパ、いつになったら綺麗なお姉さんのところに帰れるの? ぼく、幼稚園の出し物も一緒に練習しなきゃなのに」

藤原雅彦は同情するように息子を膝に乗せ、ぷにっと柔らかい頬をつまんだ。

「もう少し待て。おまえの綺麗なお姉さんをいじめる悪い連中を片づけたら、す...

ログインして続きを読む