第071章

「午後に回せと伝えろ」

秘書は絶句した。

――これが本当に、あの英明果断なうちの社長なのか。

J市中央病院に着くと、用事を急いでいた菅田友香は、そそくさと車を降りた。

その背中が見えなくなるまで目で追い、さらに二つの人影が後をつけるように病院へ入っていくのを確認してから、藤原雅彦は気だるげに言い放つ。

「車をちゃんと停めておけ。彼女が出てきたら動かせ。いいな、ずっと待っていたと気づかれるなよ」

秘書はまたしても言葉を失った。

うちの社長、いつからこんなに気が利くようになったんだ。まったく、幽霊でも見た気分だ。

手続きは思いのほか順調だったらしい。三十分ほどで、菅田友香は病院か...

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