第087章

「お姉ちゃん」

菅田有紀は眉をひそめ、たしなめるように言った。

「行船お兄さんを後悔させたいからって、翔太を傷つけるようなやり方はよくないよ」

「何があっても、翔太はお姉ちゃんの実の息子なんだから。利用していい道具じゃないでしょ」

もともと藤原翔太の胸の中には、悲しさと嫉妬がぐちゃぐちゃに渦巻いていた。だが有紀のその言葉を聞いた瞬間、感情は一気に怒りへと塗り替わる。

――ふんっ。

有紀ちゃんの言う通りだ。

ママはわざと自分とパパを困らせようとしてるんだ。

前は自分の送り迎えをする時だって、スカートひとつ履かなかったくせに、今日はあんなにきれいに着飾って、藤原陽向の試合に付き添...

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