第097章

藤原翔太は目いっぱい嫌悪をにじませた目で、菅田友香を見た。

「ママ、あとで出るとき、絶対に俺のママだなんて言わないで。恥ずかしいから」

もうとっくに吹っ切れたはずなのに、その一言は菅田友香の胸の奥を、不意にずしりと塞いだ。

これが――自分が五年以上、必死に育ててきた子ども。

すると隣で、藤原陽向がそっと彼女の手を揺らした。

「きれいなお姉さん、心配しないで。ぼく、ちゃんとがんばる。藤原翔太と有紀ちゃんをやっつけてあげる」

菅田友香はふっと笑った。

「ええ」

何のためでもない。

母の翡翠の腕時計のために――絶対に手加減なんてしない。

この勝負、勝つのは自分だ。

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