第298章

その夜、岩崎奈緒は格段にぐっすりと眠り、気分もかなり良くなっていた。

目覚めて最初にしたことは、携帯を開くことだった。

画面には藤原光司からの不在着信が表示されている。しかも、彼女のプライベートな番号にだ。

眉をひそめる。まさか、またお爺様に家法で罰せられたのではあるまいか?

彼女は身支度をしながら、メッセージを一本送った。

【ご用件は?】

その頃、藤原光司はすでに藤原グループに到着していた。

一晩経ってようやく返ってきた、このいかにもあっさりとした言葉。昨夜の山暁での修羅場と比べると、彼女のこの蚊帳の外といった態度が、どうしようもなく腹立たしかった。

だが、彼は女一人のため...

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