第306章

このパジャマは藤原美咲が用意したもので、部屋も藤原美咲の部屋の向かい側にある。

岩崎奈緒は身体が熱で干上がりそうに感じていた。プールに突き落とされたせいで風邪でも引いたのだろうか、とにかく水が飲みたかった。

だが部屋の中をぐるりと見回しても、水は用意されておらず、外に出るしかなかった。

カードキーを手に、数メートル歩いたところで、視界がぐらぐらと揺れ始めた。

熱い、喉が渇く。

何かが、徐々に理性を侵食していく。

彼女は頭を振った。ふと、傍らの小さなバルコニーから涼しい風が吹いてくるのに気づき、その熱っぽさが束の間和らいだ気がした。

だが、足りない。もっと、と貪欲に求めてしまう。...

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