第323章

岩崎家の大広間にて、入ってきた岩崎直樹を見た鈴木蘭の態度は、途端に及び腰になった。

岩崎直樹は股間の件で、ここのところずっと機嫌が悪かった。

鈴木蘭も彼の前では大声で話す勇気がない。

「直樹、手を出したの?」

岩崎直樹は冷笑を浮かべ、傍らの椅子に腰を下ろした。

「あいつが岩崎家に来るからには、俺に好きにされる覚悟はできているはずだ」

鈴木蘭は途端に焦りを覚えた。今、岩崎奈緒は藤原のおじいさまに寵愛されている。もし彼女の身に何かあれば、藤原おじいさまは必ず徹底的に調査するだろう。

藤原おじいさまの権力をもってすれば、事件の真相を洗いざらい突き止めることなど造作もない。そうなれば、...

ログインして続きを読む