第347章

岩崎奈緒は今日、山暁に戻ってきた。ここ数日ユキに会えていなかったので、手術の傷口がどれほど回復しているか気になっていたのだ。

彼女の姿を見た石川麻衣は、嬉しそうに目尻を下げた。

「岩崎さん、ちょうど今、ユキの散歩を終えたところなんです」

藤原光司がいつ帰ってくるか分からないため、石川麻衣は軽々しくユキを放し飼いにできず、毎日奥の大きな部屋に閉じ込められたままだった。

岩崎奈緒が部屋に入ると、ユキはとっくに彼女の足音を聞きつけており、中からけたたましく吠えていた。

途端に胸が締め付けられる思いがした岩崎奈緒は、すぐさましゃがみ込み、ユキの頭を優しく撫でてやる。

ユキをバラガーデンに...

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