第353章

岩崎奈緒は、少なくとも表面上の仕事はやり遂げたと感じ、病院へ向かおうとしたその時、藤原美咲から電話がかかってきた。

「ペニー、ユキはいついなくなったの?私も一緒に探すわ」

まさかこれほど親身になってくれるとは思わず、岩崎奈緒は途端に言葉に詰まった。

「えっと、一日前です」

藤原美咲は、まるで自分の犬がいなくなったかのように慌てている。

「今どこにいるの?そっちに行くから、一緒に監視カメラを確認しましょう」

「いえ、大丈夫です。もうSNSには投稿しましたし、以前お仕事でご一緒した方々も気にかけてくださるそうなので。それに、ユキはとても賢い子なんです」

「賢くたって犬は犬よ。知らな...

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