第364章

岩崎奈緒は返信せず、ただスマートフォンを傍らに置いた。

彼女も疲れており、そのままシャワーを浴びて休むことにした。

一眠りして目が覚めると、すでに翌日になっていた。スマートフォンの画面には、また二件の新しいメッセージが届いていた。

【五十三にもなって、すべてを失った。亡き母さんに合わせる顔がない。…きっと叱られるだろうな】

【プライムとの契約だが、調べたところ、八重樫が極めて不利な付属契約を独断で結んでいたことがわかった。違約金発生までの猶予期間が、取締役会で承認された半年からひと月に短縮されていた。…プライム側は早速、契約不履行を理由に二千億円の損害賠償を請求してきている。会社にそ...

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