第365章

これはまさか、お母さんが夢枕に立ったということなのだろうか。

お父さんが孤独になるのを恐れて。

自分が不幸な結婚をすることを恐れて。

母の心配は、皮肉にもすべて現実のものとなってしまった。

岩崎雄大は今や孤立無援で、それに加えて血を吸おうと待ち構える祖父母一家、そしてプライムからの巨額の負債を抱えている。彼が死をもって借金を帳消しにしようと考えてもおかしくはない。

もし岩崎奈緒が本当にこのまま岩崎雄大を死なせてしまったら、その後の人生がたとえ順風満帆だったとしても、この時の後悔を埋めることはできないだろう。

しかし、どうすればいいのか?

彼女は谷口優奈に電話をかけ、里見晋也につ...

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