第379章

藤原光司が電話に出なかったのは、彼女の顔に平手打ちを食らわせるようなものだったが、彼女は気にしなかった。

その代わり、車を藤原グループへと走らせた。

すでに夜の七時だというのに、藤原グループはまだ煌々と明かりが灯っている。

最上階に着くと、井上進がまだ残っており、彼女が夜に来たことに少し驚いた様子だった。

岩崎奈緒は彼に微笑みかける。「藤原社長にお会いしたいのですが」

「社長は今夜、海外との会議がありまして、先ほど会議室に入られたばかりです。二時間ほどかかるかと」

待つことには慣れていたので、彼女はそばの椅子に腰を下ろした。

しかし、待っている間、彼女はそわそわと落ち着かなかっ...

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