第390章

あの時、彼女は藤原のおじいさんが言っていたのは藤原光司の従兄のことだと思っていたが、まさか実の兄だとは思いもしなかった。

つまり、白石秋生の二人の息子は、どちらも才能に恵まれ、揃って後継者候補だったわけだ。

藤原光司の兄が生きていた頃は、その兄がすべてを背負っていた。

兄がいなくなってから、彼が後継者にならざるを得なくなったのは当然の成り行きだった。

お爺さんが三年前から藤原光司に結婚を勧めていたのは、家庭というもので彼を縛り付けたかったからだ。

しかし彼はそれを振り切り、直接海外へ渡って一度も帰国せず、ウォール街とシリコンバレーで名を上げてしまった。

他人の目に映る藤原光司は、...

ログインして続きを読む