第398章

彼女は傍らに用意されていた服に着替え、自分のスマートフォンを手に取って一瞥した。

スマートフォンは電源が入れられており、中には松岡和人からの不在着信が数件と、藤原光司からのメッセージが一件残っていた。

彼は出国した、と。

そのメッセージを見た瞬間、岩崎奈緒の頭は一気に冴え渡った。

藤原光司が出国したということは、この二日間は、少なくともあの男に乱暴にされる心配はない、ということだろうか?

顔を洗い、バラガーデンに戻ろうと思ったが、本当にそんな気力は残っていなかった。

だるい。全身が軋み、痛む。

誰かが黙ってワゴンを押して入ってきて、一言も余計なことは聞かずに立ち去った。ご丁寧に...

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