第403章

その間、岩崎奈緒は谷口優奈にも電話をかけていた。先に帰ると伝え、もう男の紹介はしないでほしいと頼んだ。

最上階に閉じ込められたことについては、彼女は話さなかった。藤原光司が戻ってこなくても、明日の朝になれば清掃スタッフが来るだろうから、その時に出してもらえるはずだ。

彼女は廊下の壁に寄りかかって座り込んでいた。今夜はハイヒールを履いてきたので、ずっと立っていると足が痛む。

廊下から足音が聞こえ、慌てて顔を上げると、藤原光司がこちらへ歩いてくるところだった。

岩崎奈緒は急いで立ち上がった。

わずかに委縮した声で、「藤原社長」と呼びかける。

彼を責める気にはなれなかった。ここで彼の機...

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