第406章

彼女が黙り込むと、岩崎雄大は睫毛を伏せた。

「私には全部で三十五パーセントの株がある。陽菜に二十パーセント、お前に十五パーセントをやろう」

岩崎奈緒は口の中に苦い味が広がり、何を言うべきか分からなかった。

やはり、自分はいつだって捨てられる側なのだ。

叔父の一家も、藤原光司も、そして岩崎雄大も。

彼女は一度も誰かに必要とされたことがない。

かつて、お前は大切だと言ってくれた人もいたが、その人もためらうことなく彼女を捨てて去っていった。

「奈緒、美春がお前の面倒を見て、絵を描く夢を諦めたから、あんなに体が弱くなったんだ」

そんな恩を着せられ、岩崎奈緒は一瞬にして身動きが取れなく...

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