第410章

岩崎雄大に最愛の人がいるとすれば、それは間違いなく林田美春だった。

彼がこれまで出会った中で、最も聡明で、最も強靭な女性であった。

だから、林田美春が亡くなった後、彼は長い間立ち直れず、どうしようもない苦しみに苛まれ、長年現実から逃避し、孤独を募らせていった。

鈴木蘭が彼の世界に飛び込んできたのは、ちょうどその頃だった。

ここ数年、岩崎雄大は林田美春への罪悪感と、間に合わなかった償いのすべてを、鈴木蘭に注いできた。

しかし今夜、束の間の夢の中で、彼は林田美春を見た。

日中あれほど林田美春のことを考えていたせいか、夢に彼女が現れた。

林田美春は気性が穏やかで、ヒステリックになるこ...

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