第413章

吉原太一も岩崎奈緒に藤原光司の前で口添えしてもらう必要があったため、その場で承諾した。

「分かった。うちの技術部に品質を検証させよう。塗料のスペックが基準を満たしていれば、今年度の契約は継続しよう」

宝科のような大企業が進んで提携を維持してくれるなら、たとえ岩崎グループが半年間も新規契約を取れなくても、少なくとも赤字にはならないだろう。

彼女はほっと息をつき、グラスを持ち上げた。

「吉原社長、お言葉に甘えさせていただきます。ご安心ください。私も藤原社長の前で、できる限りのことをいたします」

吉原太一は途端に顔をほころばせた。

「ペニー、君のおかげでもあるんだ。私が藤原社長と協力し...

ログインして続きを読む