第416章

「君の従妹はどこの病院に?」

「中央病院だよ」

彼はドライヤーを置くと、身を乗り出して彼女を抱きしめた。「あの子は、境遇が不憫でね。両親の会社が悪意のある乗っ取りに遭って破産。心労が重なったのか、交通事故を起こしてしまって……。その事故で、お抱えの運転手も亡くなったんだ。結局、家にはあの子とその運転手の息子だけが残されて、今は二人で肩を寄せ合って暮らしてる」

森野牧のあまりに落ち込んだ口調に、谷口優奈は手を伸ばし、彼の頭をそっと撫でた。

「そんなに落ち込まないで。奈緒に聞いてみるから。あの子の家はお金持ちだし、きっとすぐに専門医の予約を取ってくれるわ。それに四千万なんて奈緒にとっては...

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