第15章

彼女の胸にずっと引っかかっていた案件――HG建材。

資料にはこうある。HGの社長は筋金入りの仕事人間だが、子煩悩としても有名だ、と。

子どもには最高の玩具を買い、最高の学校に通わせる。欲しいと言われたものは何でも与える。けれど、唯一与えられないものがあった。――一緒に過ごす時間。

週に半日だけは息子のために時間を空けるらしい。だが親子の距離は年々開き、会話も噛み合わない。結局、目と目を合わせたまま気まずい沈黙で午後が終わることも多い、と。

篠原霧音は、風船の剣を握りしめ、目をきらきらさせてピエロを見つめる奈々を眺めた。

子どもが欲しいものなんて、本当は単純だ。

高価な贈り物じゃな...

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